不動産×金融の知識コラム

*本記事の内容は、一般的な情報を基に作成したものであり、特定の金融機関等を指したものではありません。
 詳細については、各金融機関等にお問い合わせください。

公開日:2020/06/01 最終更新日:2023/01/31
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総量規制と不動産担保ローン
基礎知識から除外・例外規定まで

貸金業法では、収入証明で確認できる年収の3分の1を超える個人の貸し付けは、「個人過剰貸付契約」「貸金業法上の用語に合わせ、「個人過剰貸付契約」としています(同法13条の2)」。」として禁止されています。この規制を「総量規制」と呼び、カードローンやキャッシングなどの無担保ローンなどこの総量規制に従う必要があります。

その一方で、不動産担保ローン(不動産担保融資)はこの総量規制の対象から除外されています。今回は、総量規制の基礎知識や理解すべきポイントをご説明するとともに、不動産担保ローンが年収の3分の1を超える大きなお金を調達できる手段であることをお伝えします。

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■この記事の監修者

荒木 博史

新生インベストメント&ファイナンス株式会社 リスク管理部 ゼネラルマネージャー
新生インベストメント&ファイナンス株式会社にて融資案件の審査・決裁業務ならびに
融資商品規程の作成・改訂業務や自己査定業務に従事。
保有資格:貸金業務取扱主任者/宅地建物取引士

総量規制の基礎知識

最初に、総量規制の概要とその対象についてご説明します。貸金業者からの個人に対する貸し付けが対象であり、法人貸し付けは対象外となっています。

総量規制とは

総量規制とは、2006年12月に公布された改正貸金業法で新たに定められたルールです。改正貸金業法は段階的に施行され、2010年6月になって完全施行されるに至りました。前述の通り、貸金業者から個人への借入限度額(貸付残高)を年収の3分の1までに制限するものです。例えば年収300万円の人は、その3分の1に当たる100万円が借入れの上限となります。

ここでいう「貸金業者」とは、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などを指しています。銀行や信用組合などもカードローンやビジネスローン、不動産担保ローンなどの形で個人への融資を行っていますが、法的に貸金業者には当たらないため総量規制の対象外とされています。

過剰な借り入れ、貸し付けの防止を目的として総量規制は定められました。貸金業者はそれまで、顧客の返済能力を超過した貸し付けを行うことがあり、金利の上限も年率29.2%と高かったことから、返済総額が膨らんで返済不能に陥る利用者が続出して社会問題となっていました。総量規制を設けることで「借りすぎ」「貸しすぎ」を未然に防ぎ、多重債務や生活苦にあえぐ利用者を減らすことが目指されたわけです。実際、総量規制の施行によって多重債務者は大きく減少しました。

なお、単一の貸金業者から収入の3分の1まで借りられるというわけではありません。すべての貸金業者からの融資を合計して、収入の3分の1までしか借りられないということです。年収600万円の人がA社から200万円借りている場合、A社以外の貸金業者からは借りられません。

信用情報機関に加盟している貸金業者は、申し込みの際に「FINE」と呼ばれるネットワークで顧客の返済能力に関するデータを照会していることから、虚偽の借入残高の申告をしても、年収の3分の1以上のお金を貸金業者から借りることはできません。もし借りようとしても、すぐ審査落ちにされてしまいます。

総量規制の対象

貸金業者から個人に対する貸し付けが総量規制の対象です。したがって、法人に対する貸し付けや保証人としての契約は総量規制の対象外です。また、個人が事業用資金として借り入れを行う場合は、総量規制の対象外となる可能性があります。

何が対象外となるかを定めた除外規定や例外規定については、次の見出しで詳しく見ていきましょう。

総量規制の除外・例外

総量規制には、いくつか除外規定や例外規定があります。特に、自宅以外の不動産を担保としたローンが規制から除外されている点は理解しておきましょう。

総量規制の除外

以下のケースが総量規制の除外対象とされています。特に6.の「不動産担保貸付け」が不動産担保ローンを指していることは覚えておきましょう。この文言を根拠に、不動産担保ローンが総量規制の対象外であるとされているのです。ただし書きとして「自宅担保を除く」とされている点も注目に値します。

〔除外規定:個人過剰貸付けの対象から除かれる契約〕

  1. 不動産の建設、購入、あるいは改良(リフォーム)に必要な資金の貸付け(請負契約書等が必要)
  2. 上記のつなぎ資金の貸付け
  3. 自動車の購入に必要な資金の貸付け
  4. 高額療養費を支払うための貸付け
  5. 有価証券担保貸付け
  6. 不動産担保貸付け(ただし、自宅担保を除く)
  7. 不動産売却による返済を目的とする貸付け
  8. その他(手形割引など)

総量規制の例外

〔例外規定:個人顧客の利益の保護に支障を生じない契約〕

  1. 既に負担している債務を弁済する資金の貸付け(詳細条件あり)
  2. 緊急の医療費を支払うための貸付け
  3. 10万円以内の特定緊急資金の貸付け(詳細条件あり)
  4. 配偶者の『収入証明』による年収額を合算した範囲の『総量規制』貸付け(配偶者の同意必要)
  5. 個人事業主に対する貸付け(詳細条件あり)
  6. 個人事業主の新規開業資金の貸付け
  7. 金融機関からの貸付けまでのつなぎ資金の貸付け

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総量規制について覚えておきたいポイント

総量規制と不動産担保ローンの関係について、2点だけ注意したいポイントをお伝えします。

不動産担保ローンは総量規制の除外に該当する

不動産担保ローンは、カードローンやビジネスローンなどの無担保ローンに比べて、多額のお金を低い金利で、しかも最長で35年程度の長い返済期間で調達できるなど多くのメリットを持つ商品です。銀行やノンバンクなど、さまざまな金融機関等が不動産担保ローンを提供しています。

リフォーム資金や自宅の増改築、事業資金(運転資金や設備投資資金など)、複数のローンを一本化した「おまとめローン」など、資金使途も自由な形で活用できます。返済回数や返済方式(元利均等返済、元金均等返済など)も柔軟に設定できます。その理由は、不動産担保ローンが総量規制の対象外であるからにほかなりません。

何度かお伝えしている通り、原則として不動産担保ローンは総量規制の対象外です。土地や建物はもちろん、駐車場や借地権なども同じです。ただし、契約者=個人かつ担保不動産=自宅ですと、総量規制の対象に含まれます。

担保も保証人も不要な無担保ローンですと、債務者が返済不能に陥った瞬間に貸金業者の方も資金を回収できなくなるため、一般に、高額の融資が難しくなります。しかし、年収の3分の1を超える高額の融資を受ける需要が生じる場合があるため、不動産担保ローンのように一定の資産を担保とする場合などについては総量規制の対象外とし、年収の3分の1を超えるような額でも融資可能となるわけです。

なお、上記で記載している内容は、一般的な情報のため、金利や返済期間(返済回数)、返済方式などの融資条件に関する詳細については、ご検討中の各金融機関等にお問い合わせください。

総量規制の対象外であっても借りすぎに注意する

当然のことですが、「総量規制の対象外」という言葉に引っ張られて借りすぎないよう注意しましょう。不動産担保ローンで借り入れを行う場合も、返済額が大きくなりすぎて月々の返済ができなくなると、担保物件を競売などによって手放さざるを得なくなります(売却資金は残債の処理に使われ、手元に残らない可能性もあります)。また、それ以前に審査に通過できない可能性も高いです。きちんと資金計画(法人なら事業計画)を立て、確実に返済できる程度のお金を借りるようにしてください。

例えば、無職(年収ゼロ)や低年収の人でも、不動産を持っていれば理論上は不動産担保ローンでお金を調達できることになります。しかし、この場合でもお金を借りると返済負担が大きくなることを容易に推測できることから、多くの金融機関等では確定申告書や源泉徴収票など収入を証明する書類をチェックしたうえで、「安定した収入がない」ことを理由に審査落ちとなりやすいわけです。

不動産担保ローンなど融資を受けるのなら
総量規制を理解しよう

貸金業者によるお金の貸し付けには、総量規制が適用されます。しかし今回ご紹介したように、不動産担保ローンをはじめとしたいくつかの貸し付けは総量規制から除外されたり例外とされたりしています。

何らかの形でお金の借り入れを考える場合は、必ず総量規制の対象となるのかどうかを検討しましょう。それによって、借りられる額の上限がある程度決まってきます。気になる場合は、各金融機関等までお気軽にご相談ください。

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